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ニシムタ問題が映す“古い日本型商習慣”の延命──昭和の慣習は令和で通じるのか

2025 9/07
コラム 社会問題
2025-09-07
新規開店の裏で疲れ切ったメーカー社員が陳列作業をする姿と、背後に漂うゾンビの影が古い商習慣を象徴するイラスト

鹿児島のホームセンター「ニシムタ」が公正取引委員会から指摘を受け、確約手続による是正を迫られました。問題とされたのは、納入業者に「商品管理費」や「広告協賛金」といった名目で根拠不明な費用を負担させたり、新規開店の際に従業員を無償で派遣させたりしたこと。立場を利用して金銭や労務を引き出す構図であり、まるで昭和の漫画に登場する悪徳商人のような発想が、令和の現実に残っていたのです。

Yahoo!ニュース
ニシムタ 公取委立ち入りは2回目…専門家「処分が甘い」――根付いた商慣習、納入業者ら驚き隠さず「当たり前…  鹿児島県内小売り大手のニシムタ(鹿児島市)が、不当な協賛金徴収などをしていたとして、公正取引委員会から立ち入り検査を受けていたことが明らかになった5日、納入業…

昭和の常識、令和の非常識

「昔は当たり前だった」と懐かしむ声もあるでしょう。昭和の百貨店や量販店では、納入業者が頭を下げてリベートを払い、売れ残り商品を返品され、開店セールには社員を“ボランティア”として派遣する──そんな光景が日常でした。いま思えば「働き方改革?それって何?」と笑ってしまう時代です。

しかし今では事情が違います。流通の主役は百貨店からコンビニやドラッグストアに移り、法の網も細かくなりました。かつて“伝統芸”と呼ばれたやり方は、今では「優越的地位の濫用」として違法の烙印を押されます。ニシムタの件は、昭和の遺産が令和の舞台で“骨董品”のように晒された事例と言えるでしょう。

コンビニ・ドラッグストアに受け継がれる「駆り出し」

それでも商慣習はしぶとく生き残ります。コンビニやドラッグストアの新規オープンでは、今もメーカー社員が棚づくりや陳列に駆り出されることが珍しくありません。表向きは「協力」「協賛」という言葉で飾られますが、実態は“タダ働き”。断れば取引に響くため、業者は笑顔を装って従わざるを得ません。まさに「にっこり顔で強制労働」という皮肉な構図です。

店舗側の言い分は決まっています。「正しい陳列はメーカーが一番詳しい」。しかしそれは「泥棒に防犯マニュアルを書かせる」ようなもの。責任を押し付け、自分はリスクを負わない姿勢は、令和のビジネスとしてはあまりに時代錯誤です。

慣習の延命がもたらすもの

ニシムタ問題は、“古い日本型商習慣”がゾンビのように延命している現実を浮き彫りにしました。「持ちつ持たれつ」と美化されがちな文化も、実態は「持たせて、持たされて、最後は下請けが泣く」という構図にすぎません。これは笑い話ではなく、繰り返される喜劇のような悲劇です。

公取委が動いたのは、一企業の問題を正すためだけではなく、「そろそろゾンビ退治を始めましょう」という社会へのメッセージでもあるでしょう。行政が明確に線を引かなければ、“協力”の名の下に搾取はいつまでも続いてしまいます。

終焉か、それとも温存か

華やかなテープカットの裏で、疲れ切った顔のメーカー社員が棚に商品を並べている──そんな現実を覆い隠しながら「新規開店!」と笑顔を振りまいてきた流通業界。ニシムタの件は私たちに問いを突きつけます。昭和から続くゾンビ商習慣を本当に終わらせられるのか。それとも「日本の伝統」として温存し続けるのか。

少なくとも、公取委に“ゾンビハンター”を演じてもらう日々は、もうしばらく続きそうです。

コラム 社会問題
コンビニ ドラッグストア ニシムタ 公正取引委員会 商習慣
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